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2006年10月号
最近のテレビ番組から
これまで、このコラム欄では口臭の話を系統的にお話してきましたが、今回は9月5日(火)、朝日テレビ「たけしの本当は怖い家庭の医学」で放送された口臭編について、気づいたことをお話します。
番組では、自分の口臭を気にしすぎるあまり、ひきこもりになってしまう自臭症の女性が紹介されていました。そして自臭症になりやすい人は、内向的で他人に気を遣う、きれい好きな女性であり、こういった自臭症は最近増加している現代病と報じられています。しかし、口臭の自覚がなく治療されずに放置されている病的口臭症については触れられていませんでしたが、こちらもまだまだ多いのは事実です。
その後、番組はゲストタレントへの口臭問診へと進みます。その内容は、1)歯を磨かずに寝てしまう 2)歯磨きで出血する 3)起床時口がねばつく 4)朝食を抜く 5)口渇 6)胃腸の調子が悪い 7)血糖値が高い の7つで、そのうち5個以上当てはまる人は要精査となっていました。しかし、6)胃腸の調子が悪い という項目は、あまり口臭に関係がないと思います。腸管で発生したガスが血中に吸収されて肺を通って口臭となる場合も時にはありますが、胃が悪くて臭いが直接食道を通じて上がってくることはまずありえないからです。また5個以上という条件になっていましたが、4個以下なら安心とは言えません。2)と3)は歯周病の症状ですから、それだけで口臭を疑うべきでしょう。
その後、番組はゲストの口臭検査へと移ります。そこで当院でも使用しているオーラル・クロマが登場します。これは現在、開業医レベルでは一番信頼のおける口臭検査機器ですから、納得できます。ゲストの教授は、朝食抜きはなぜいけないかという質問に対して以下のように答えています。それは朝食を食べると唾液がたくさん出て、就寝中に増殖した口臭の原因となる細菌を洗い流してくれるからという回答でした。しかしちょっと説明不足で、食事をとると唾液がでるだけではなく、食塊が舌の上を通ることにより舌苔が取り除かれ、また口腔内が酸性に傾き口臭が発生しにくくなるというのが正しい答えです。
番組では、口臭を歯周病と唾液の面からだけで捉えていましたが、もっと大きな要素である舌苔や舌クリーナーの話も出てくるべきであったと思います。
この種の番組が放送されると、きまって翌日当院では口臭検査の予約電話がかかります。マスコミの力には驚かされます。こと医学に関しては、面白半分に伝えるのではなく、医療現場が混乱しないようはっきりしたエビデンス(証拠)に基づいた報道をしていただきたいものです。番組はいつものように、「このまま放っておくと、たいへんなことになりますよ!」と言うたけしさんのことばでエンディングとなりました。
<院長> |